おんな城主直虎 29話のあらすじネタバレと感想
NHK大河ドラマおんな城主直虎29話のあらすじネタバレと感想です。
あらすじのネタバレは放送開始前に、感想は放送開始後に追記します。
目次
おんな城主直虎 29話のあらすじネタバレ
「争いごとをここでとどめるつもりはないか?例えば、戦に及ばぬように、御家が上杉家と手を結ぶなどはできないものか…」
家康への書状を託された傑山が持ち帰った家康からの返事には、「すぐに答えは出せないが、考えてみる」と書かれていた。
どことなく確信に満ちた傑山の明るさは、直虎に希望を与えた。
しかし、いつまでたっても三河からの連絡はなく、それどころか駿府から別の知らせが届いた。
「大方様が亡くなられた」
政次の言葉に直虎は言葉を失った。
混乱する今川家を残して逝く無念がひしひしと伝わる。
女大名とまで言われた寿桂尼の、波乱に満ちた生涯を振り返りながら、直虎は経をあげ、安らかな眠りを祈った。
それから数日経ったある日、南渓の馴染みで徳川に出入りする山伏の松下常慶が、龍潭寺を訪ねてきた。
「お返事が遅くなり申し訳ありません。三河も色々と揉めていまして」
事の発端は直虎が送った手紙だという。
「徳川様は、井伊様のご提案を受け入れ、上杉と話を進めるために密書まで送っていました。しかし、同時に武田からも話が来たのです」
武田からの話は、徳川と武田で今川に攻め込み、大井川から西側を徳川が、東側を武田が頂こうというものであった。
家内の意見は別れ、しばし押し問答が続いたが、結局家康の意向には添わず、武田に従うことになった。
「では、もう戦は避けられないか…」
「おそらく今年中に、徳川は遠江に攻め込むことになりますが、井伊様はそれでも今川側として戦うつもりかどうかの確認に来たのです」
「それでも?それでもとは?」
「井伊様は今川の味方に付かれるのかと」
「違う。あれはただ、戦自体を避けたかっただけだ」
「では、徳川に付かれますか?」
次こそは正しい判断を・・・
難しい決断に直虎は迷いを隠せなかった。
しかし、ここまで来たら引き返すわけにはいかない。
「できれば…そうしたいと思っている…」
「では、人質として虎松様の母親を頂戴致します」
し、しの殿を?!
「待て!なぜ人質を渡さなければならないのだ!」
「あの手紙の内容もそうでしたが、井伊は今川から離れられないのではないかと懸念しているのです」
「しかし、三河に人質をよこせば、今川に怪しまれるであろう」
「私の実家の松下でと考えています。兄がちょうど後妻を探しているので、そこに嫁ぐというかたちにすれば、怪しまれることはないかと」
「父親のいない虎松にとって、唯一の親である母親まで奪えというのか!」
「それでは、少しお考えください。近いうちにまた参ります」
直虎の言葉には答えず、常慶は去って行った。
入れ違いでやって来た政次が言った。
「少し急ぎ過ぎたようですね」
「うむ…あの手紙がこんなことになるとは」
「殿の口から言いにくいようでしたら、しの様には私からお伝えしますよ。太守様からの命令とでも言って」
「いや、わたしが自分で伝える。せめて愚痴くらいは受け止めてやらねば。直親が…あの世で怒っているだろうな…」
落ち着いた様子で話を聞いていたしのが、大きなため息をついてから言った。
「つまり、殿が余計なことをしたせいで、私が人質になるという話になってしまったということですね」
ただただ頭を下げるしかできない直虎。
「本当に、申し訳ない…詫びのしようもない」
呆れた様子で殿に強く当たったしのであったが、結局は「虎松にはどう伝えればいいでしょうか?」と、言った。
「えっ?行ってくれるのか?」
直虎は頭を上げながら恐る恐る聞いた。
「こうなってしまったいじょうは、仕方ないでしょう」
申し訳なさで胸が痛んだが、同時にどこかホッとした自分がいた。
武家の女の決断
数日後、虎松が駆け込んで来た。
「母は行きたくないと言っています!すぐに取り消してください!」
しのの本心は分からなかったが、直虎は虎松に事情をしっかりと説明した。
「井伊は、仲良くしたいと思っている相手から、母様が嫁いでくれるならば信じてやると言われたのだ」
「それは、人質というものではないのですか?」
「武家の結婚というのは全てそういうものだ」
「なぜ、母なのですか?他の方ではダメなのですか?」
「井伊にとって大事な方なら、他でも構わないが…」
虎松は頭をぐるぐると回転させた。
祐椿尼様は…出家されている。
高瀬様は…若過ぎて年が釣り合わない。
ん?では、殿は?殿も女性ではないですか!!
「わたしが行ってしまったら、誰が殿をやるんだ?」
そうは言ったものの、やはり、可哀想で仕方ない。
しのの本心を聞きたかったということもあり、直虎はしのの元を訪れた。
「少し大袈裟に言い過ぎたようです」
しのは、落ち着いた様子だった。
「虎松はいずれ、当主となる身です。親しい人を人質に出さなければならないという事を考える、良い機会だと思い、わざとに行きたくないと言ってみたのです」
虎松のことはしっかりと納得させるし、自分は約束通り嫁ぐと言い、改まった様子でしのは続けた。
「私が嫁ぐという事を、井伊の為に上手く利用してください。そして、いつか、その話を虎松にしてやってください」
井伊の嫁としての立派な覚悟に胸を打たれた。
「わかった…」
目頭を熱くしながら、不器用な作り笑いを浮かべ、直虎は返した。
皆でつなぐ亡き直親の思い
「一生懸命考えてくれて、母はとても嬉しく思います」
うつむき、口をつぐむ虎松に、しのはゆっくりと語りかけた。
「じつは、虎松と同じように、母も考えていたことがあるのです。…母は、やはり行きたくなったのですが、行っても良いですか?」
驚いた虎松は、突然顔を上げた。
「な、何故ですか!」
「父上の望みだからです。あなたの父上は、あるお家と仲良くしようとして殺されたのです。今回、母が嫁ぐお家は、父上が仲良くしたいと思っていたお家なのです」
「嘘だ!母は虎松と離れたくないはずだ!虎松のことが、一番好きなはずだ!一番大事なはずだ!!」
愛しい我が子を抱きしめながら、しのは言った。
「もちろん。虎松は私の宝です。だからこそ、大切にしたいのです」
母の腕の中で、静かに聞いている虎松。
「母は、あなたに強い味方を作ってやりたいのです。母が嫁げば井伊にとって強い味方が増えることになるし、子供ができればあなたの兄弟が増えます」
このまま、ここで、この子と暮らしていきたい…
一瞬、心が大きく揺れた。
しかし、それはできない。
今、この状況で望めるのはただ一つ。
「笑顔で送り出してくれませんか?」
虎松はきつくしがみついて来た。
「…行かれる日まで、毎晩虎松と一緒に寝てください」
「もちろんですよ」
そう言いながら、しのも声を押し殺して泣いた。
静かに押し寄せる大きな波・・・
「しの様を松下のお家に嫁がせます」
再度、龍潭寺を訪れた常慶にはっきりと伝えた直虎は、一つだけ望みがあると切り出した。
「徳川が攻め入った時、我々は逆らわず城を明け渡します。しかし、その先兵は出さず、戦に加担はしません」
「徳川の加勢はしないと。しかしそれでは、新たな安住の地は手に入りませんが…」
「我々は今以上の安住は望みません。井伊の民百姓、一人たりとも命を落とさせないことが、井伊の目指すところです」
「…それが、井伊の戦い方ですか?」
驚く常慶に、直虎は力強く頷いた。
夏が来て、しのは松下の家に嫁いでいった。
力強い蝉の鳴き声に一層暑さの増す、よく晴れた日だった。
井伊の屋敷に虎松を迎え入れた直虎は、優しく言った。
「今日からは私が虎松の義母となるが、母などとは思わなくて良い。わたしにしの様の代わりはできないし、わたしのことは父と思ってほしい」
「…はい!」
井伊の跡取りは、健気に、しかし力強く答えた。
一方、駿府では、寿桂尼の残した言葉に従い、今川が井伊に対する策略を企て始めていた。
以上、おんな城主直虎29話のあらすじネタバレでした。
以下は実際に放送を見ての感想です。
おんな城主直虎29話の感想
徳川と手を結び、戦を回避しようとして裏目に出た今回。
虎松の母親・しのを人質に差し出さなければならなくなりました。
父親も亡くし母親も遠くへ行ってしまった虎松ですが、強い子ですね。
強くならなければ井伊の当主にはなれない。
生まれた時から背負っている宿命とはいえ、幼い子供には荷が重いように感じます。
強くなろうと必死に成長する虎松の姿に父親の面影を感じさせられたお話しでした。
三河へ書状を送ったことが勇み足に
武田と今川が険悪なムード。
戦そのものを回避するため直虎は徳川へ書状を送りました。
上杉と結べば徳川にとっても大きな利益になるのでしょう。
前向きな返事をもらえて良かったですね。
とうとう女戦国大名の寿桂尼が息を引き取りました。
書置きを残して美しくこの世を去るとは寿桂尼らしい最期。
そんな彼女の死を知り、井戸で経を唱える直虎。
長年に渡り男たちには敵となり味方にもなった女性。
女たちにとっては敬愛と畏怖を。
男でもあり女でもある直虎にとっては両方であったのですね。
戦乱の世を逞しく生き抜いた女性は、多くの人にとって偉大な存在であったことでしょう。
まさか今度は武田からも三河へ誘いがあるとは。
徳川も内輪で揉めており上杉と結ぶ望みが薄くなってきました。
唯一の戦を回避できる方法を失いどうするのでしょうか。
どちらの味方になるかを決断する時。
徳川につくとなると人質に虎松の母親を要求されます。
書状のせいで勇み足となってしまい悔やむ直虎。
虎松の母・しのとせっかく仲良くなれたのに人質に差し出さなければならないとは。
直虎も嫌な役目を背負ってしまいましたね。
人質になる事を了承する虎松の母・しの
寺で元気に勉強を続ける虎松には、母親から引き離されるという辛い現実が待っています。
しのへ人質の件を伝えに行く直虎。
直虎の失敗を叱咤するとは、やはり気が強い女性ですね。
仕方なく人質に行くことを了承するしのは、昔では考えられないほど優しい女性になりました。
彼女の去っていく後ろ姿に感謝してもしきれない事でしょう。
息子と引き離され、人質になってしまうのですから辛いものです。
我が子に別れを告げなければならないとは。
虎松は縁談の話を聞いて、直虎に直談判しに来ました。
必死に母親を嫁がせないでほしいと頼む虎松。
阿呆とまで言われてしまいます。
そんな虎松にもわかりやすく説明する姿は、まるで父親のようですね。
井伊にとって大事な人間なら誰でもいいと聞いて何を考えたのでしょうか。
無理難題を解決しようと奮闘する息子の成長を見守るしの。
そんな姿に母は強しである事を感じました。
笛の音と共に母を送り出す虎松
虎松は必死に代わりの女性を考えます。
なかなか適任はいないものなのですね。
人質そのものを出さずにすむ方法として結ぶ先を武田に変更することを考えました。
今は友好関係の武田と徳川ですが、戦になれば真っ先に井伊がやられてしまい難しいようです。
先方はしのの顔を知らないと踏んで身代わりにあやめを差し出すことを提案する虎松。
幼いのになかなか頭が冴えていますね。
いつまでも嫁ぎ先が無いあやめも満更ではない様子。
必死で考えた策を直虎に却下され、泣き疲れて眠る姿は可哀想でした。
井伊の当主として成長するためには乗り越えなければならない事なのでしょう。
そんな息子を成長させるため、あえて嫁ぎたくないと言ったのですね。
自分が人質へ行くことによって井伊の大きな助けになる事を望み去ろうとするしの。
虎松に、父親である直親の志を継ぐため自分の意志で嫁ぐのだと説明しました。
始めは泣きじゃくる虎松ですが、さすが井伊の次期当主。
まだ幼いのに母親との別れを受け入れた顔は頼もしかったです。
大きくなったら立派な跡継ぎとなってくれることでしょう。
大事な人質を出すのですから強気で条件を提示するのは当然。
井伊は戦に参加しないことを条件にしました。
とにかく戦をしない方法を考えることでしか井伊は生き残れません。
この条件は井伊にとって最低限の事ではないでしょうか。
しのという人質を出すことによって、井伊は救われたということになります。
彼女の役割はとても大きなものとなりました。
別れ際に渡された父・直親の笛を吹いて母親を送り出す虎松。
最初は音さえも出せなかったのに、このために練習し続けたのでしょう。
しのが最後に植えていった凪の木。
災いを避ける木、良縁を結ぶ木、愛しい者の無事を祈る木。
我が子への思いを込めて最後に植えた木なのでしょう。
虎松にとって母親の面影を感じさせる木になってくれるといいですね。
戦に持ち込みたい武田信玄の策で、とうとう今川と武田が表立って決裂することに。
信玄の太々しい顔が腹立ちます。
氏真の怒りも限界に達し、戦でしか収拾がつかない事態となりました。
寿桂尼が最後に仕掛けた罠とは。
まさか自分と同じ生き方をしているから敵視されたとは、直虎自身も思いも寄らないでしょうね。