おんな城主直虎 24話のあらすじネタバレと感想

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NHK大河ドラマおんな城主直虎24話のあらすじネタバレと感想です。

あらすじのネタバレは放送開始前に、感想は放送開始後に追記します。

⇒おんな城主直虎23話のネタバレと感想はこちら

⇒ネタバレと感想記事の一覧はこちら

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おんな城主直虎 24話のあらすじネタバレ

日が暮れかけたとき、直虎は龍雲丸との再会の地にひとり佇んでいた。

お宝を求め、あてのない旅をしていると、龍雲丸はの橘の木のそばで言っていた。

「はじめからそういう男だったがな…」

ふいに、背後から政次が現れた。

「今回の件は残念でしたね」

「あの者たちが来てくれれば、こちらにとっては良いことも多かったが、あの者たちにとってはそうではなかったと言うことだろう。仕方がない」

直虎は「しかし」と、続ける。

「誰もがあの者たちのように生きられれば幸せだろうな。もちろん、盗賊と言う意味では無い。侍に、という話を簡単に断れるのは、あの者たちが地位や名声、権力など何物にも頼らずに生きていけるからであろう。一人一人がしっかりと生きる術を持っていれば、あのように好きなように生きていけるのかな」

「あの者たちを美化しすぎかと」

そうかもしれないが、直虎よりも自由に生きていける事は確かである。

この年から直虎は、百姓たちに読み書きや護身術、商取引や薬草の知識などを教え始め、武家の子供だけでなく百姓の子供たちも寺に習い事をしに来ることを許可した。

「井伊に行けば、そんな暮らしができるのか!」

噂が広がり、井伊に人が集まりだすと、直虎の名声はいつしか大きな広がりをみせていた。

一五六七年。

「塩止め?」

評定の後、方久の話を聞いていた六左衛門が尋ねた。

直虎はとうに三十を超え、殿らしい落ち着きを放ち、少し引いたところから家臣たちの話を聞いていた。

「武田に裏切られた今川は、その報復として武田に塩を売ることを禁止したのです」

武田の領地は海に接していないため、塩を売ってもらえないと困るのだ。

「実際は塩だけでなく色々なものが届かないようにしているのですが」

妙にうれしそうに話す方久に皆首を傾げている。

「何がそんなにおかしいのか?」

直之が聞くと、皆鈍いなぁと言わんばかりに方久が声を張り上げた。

「今まで今川に塩の売買を許可され、独り占めしていたなじみの商人たちは売ることができなくなった。すると、今まで参入できなかった者たちがここぞとばかりに裏で塩の売買を始めたわけです」

「ほう!」

「これはまさに商人たちの下剋上!いやぁ、本当に胸がすっきりする話です」

今川に種子島の件で締め出されご立腹だった方久は、本当に嬉しそうである。

「で、方久も一儲けしたということか」

素早い直虎の突っ込みに、たじろいながら方久が言った。

「…いえ…わたしは今や井伊の家臣でございます。お家に迷惑のかかるようなことは、そのようなことは決してしませんよ」

「これはやっているな」という空気が流れ、直虎が、「やはり、気賀で決まりだな」と言った。

駿府が混乱しているようなので、気賀で商売を始めた方がいいと判断した直虎。

「中村屋と話を進めてくれ」

方久に早速指示を出す。

突然舞い降りた縁談話

政次の真意に気付いて以来、何かにつけては南渓の部屋に行き、碁盤を囲んで話をするのが習慣になっている。

この日は、政次が駿府から戻ってきたので、早速話しをしようと龍潭寺に向かった。

「え?私が子供たちに囲碁を教える?」

異様なまでに驚く政次。

家中でひとり孤立している嫌われ者の自分にまで、役目が回ってくるとは…

「何と言っても、碁は政次が一番うまいからな」

碁は考える力や問題解決能力を高くする。

「わたしが教えるとなると周りのものが…」

まだ、気が進まない様子の政次。

「和尚様が勝手に頼んだことにすれば問題はない」

「承知いたしました。実は、私からもお話があります。駿府から縁談の話がありました」

「た、高瀬か?!」

心臓が飛び跳ねた。

まだまだ若く、嫁に行くのはまだ早い…

何より、直虎を母様と言って慕ってくる高瀬のことが可愛くて仕方ない。

「いえ。新野の桜様にです」

少しホッとした。

「しかしまた何故こんな急に?」

「今川からの国衆離れを防ぐためでしょう。縁組により国衆たちの人質集めをし直しているということです」

人質と聞くと佐名の無念な最期を思い出す。

「相手は雪斎禅師の生家である庵原様です」

「庵原といえば、今川の中でもかなりの重臣。そのような家に嫁げば全く身動きが取れなくなる」

「もし、嫌がるのであれば、再度、徳政令を出せと」

直虎はあきれ返っている。

「それだけ焦っていると言うことです。余裕のない相手にケチをつければ、余計な詮索をされかねません。縁組とはそういうものでございます」

利用したり、利用されたり…嫁ぐことのない身の上は気楽で良いと直虎は思った。

それぞれの思惑通りに事は進むのか・・・

その頃、岡崎上では家康が蛇に睨まれた蛙のように縮みあがっていた。

「例の縁組の話に迷っているようだと聞いて、いてもたってもいられず飛んできたが、どういうことだ?」

にらみをきかせているのは織田信長である。

「とんでもございません!徳川家としては迷ってなどは…」

家康の家臣である酒井忠次が、縮み上がった主に代わって答えた。

「しかし、武田からも内密に話が来ていて、迷っていると耳にしたが」

「空耳でございましょう」

かの鳴くような小さな声で家康が言った。

「お前、わしの目を盗んで、あのハゲ狸と手を組もうとしてないか」

ハゲ狸…信玄のことである。

「そのようなことは。織田様と我が殿は兄弟も同然の間柄です!弟が兄を裏切ることなどありますでしょうか!」

忠次は必死になりすぎて、口を滑らせたことに気づいていない。

「わしは実の弟の首を斬ったがな」

なんともあっさり切り捨てるような口ぶりで信長が言った。

「あんな卑劣な事、もう二度とわしにはさせんでほしいものだ。のう兄弟!」

「も、もちろんでございます!」

震え上がり縮こまる家康を見て、信長は無邪気に笑った。

「わしの言う通りにしていれば、駿府はそのうちお前の手に入るだろう。だが、少しでも変なことをすれば、お前が誰かの手に落ちるかもしれない。分ったか!この豆狸!」

「はっ、ははぁ!」

ひれ伏す家康を見て「もどる!」というと同時に、信長は踵を返して足早に去っていった。

「だ、大丈夫ですか!殿!」

声も出ない家康は、胸を押さえうなづいた。

「そんなに悩まなくてもよろしいのでは。それこそ瀬名様の話のようなこともありますし」

桜の縁談の話を聞いた祐椿尼が言った。

「あまり良い面談だと思えなかったものが、今や大出世ではありませんか」

しかし、寺暮らしを余儀なくされてきた瀬名を思うと、手放しでは喜べない。

「では、姫様」

寝支度を終え、部屋を後にするたけを直虎が呼び止める。

「たけ…おい、たけ!」

何度かよびかけてから、ようやくたけは気付いた。

「これはわたしのものではないぞ」

その寝間着は高瀬のものだった。

「すみません、すぐに取り替えてまいります」

そそっかしいなぁと呟きながら直虎はたけの背中に微笑んだ。

「瀬名さまは、どうしているのかなぁ」

家康の本音

艶やかに紅を引き、月明かりに照らされる廊下を歩く瀬名は、奥まった部屋に向かった。

そこにはぐっすりと眠る息子と、それを眺めている家康の姿があった。

「こうしてみれび、まるで竹千代の父上のようですね」

「…父上じゃ」

「お久しぶりです。殿」

皮肉めいた瀬名の言葉に反応することなく、家康は考え事をしながら大きなため息をついた。

まただ…瀬名に会いにくるときはいつも何か大きな悩みを抱えた時だ。

「で、今日は何か?」

家康は竹千代に織田から姫を迎えなければならないことを伝えた。

「いっそのこと、武田から姫を迎え手を組もうかと考えていたのだ。そうすれば少しは立場が強くなるかと思ったのだが、早々に織田から釘を刺されてしまった」

「大丈夫なのですか?」

「なんとかしたが…しかし、本当に恐ろしかったぞ。鬼が乗り込んできて、殺されるかと思った」

またひとつ、ため息をついてから続けた。

「結局、飼い主が今川から織田に代わっただけ…この岡崎に戻ってから7年もの間、捨て駒のように扱われてきた」

「飛び出してしまったのですから、それは仕方ないでしょう」

「今更だが、今川はのどかで良かった…」

「そこを飛び出して戻られたのは殿の決めたことでしょう」

瀬名が諭すが、家康の愚痴はおさまらない。

「なぜ三河だけではダメなのかのう。駿府まで獲らなくても良いではないか…」

「ならば、直接鬼におっしゃれば?」

「家中の者も次は遠江だ!駿府だ!と騒ぎ立てる」

瀬名もそろそろうんざりしてきた。

「私たちは何度このような話をしているでしょう」

瀬名の膝に顔を埋めた家康は「ここでしか本音で話せないのだ…」と、深いため息をついた。

「しかし、瀬名も殿が駿府に入るのを見たい気がします。鬼やハゲ狸などではなく、可愛らしい豆狸が入ることこそが、せめてもの恩返しかと」

「そうやって、みんなして自分の野心のために、わしのことを使い走りにする…わしは一生あくせく駆けずり回るのじゃ」

瀬名は笑いながら「長生きしてください。そうすれば鬼もハゲ狸もいなくなります」

「そしてまた、空いた城を拾うか」

「それがいいですね」

瀬名と話したことでようやく落ち着きを取り戻した家康が「さて」と、身を起こした。

行こうとする家康に「殿…」と、瀬名はためらいがちに声をかけた。

「あの…井伊は…井伊のこともどうか忘れないでください」

「…わかっている」

部屋の外で警護していた石川数正と共に去っていく後ろ姿を見送ったあと、くるりと背を向けて部屋に戻って行った。

部屋に戻る瀬名の後ろ姿を、そっと振り返った数正が見つめていた。

逃れられない縁談なれど・・・

新野の屋敷では、桜の縁組の話がされていた。

「庵原…あの雪斎禅師の…」

長姉のあやめは心配そうに驚いている。

「今川のなかでもかなりの重臣で、藤原の流れをくむ名門じゃ」

「まぁ!それはありがたいお話で」

次姉の桔梗は嬉しそうであるが、当の桜は不安そうだ。

「あの…そのような立派な家柄に私など不釣り合いかと…」

「新野だって、本家は今川の親戚ではないか」と六左衛門が言う。

「ですが、私は井伊から出たこともありませんし…」

「あら!じゃあ私が代わりましょうか?」などと桔梗が冗談を言った。

「えっ、姉様…それは…」

まんざらでもなさそうだ。

「では、詳細はおってまた連絡するので、よろしくな」

屋敷を出る直虎の後をあやめが追ってきた。

「あの…直虎さま…」

何か言いたげにモジモジしている。

「…あっ、いえ、なんでもございません。素敵なお話をありがとうございます」

屋敷に戻り、祐椿尼を見つけた直虎はふいに尋ねた。

「母上が嫁いで来られたとき、今川は井伊じゅうから睨まれていた頃でしたよね?そんな中での縁組の話を恨んだことはないのですか?」

「ああ、確かに、大げさに色々と考えましたよ。しかし、実際は殿がとても優しい方で、逆に拍子抜けしたというか…それからは新野の家のことは、あまり考えなくなりましたね」

なるほど…と考え込んでいた直虎の胸中を察した祐椿尼が、切り出した。

「桜は嫌がっているのですか?」

「いえ、そういうわけではありませんが、あやめ様が心配されているようで」

先ほども何か言いたげだった。「だからといって、意見を言われる方ではないからか、逆に申し訳なくて」

側にいたたけは、立派になった直虎に感心している。

「せめて、そのお相手の方がしっかりとした方だと良いのですが」

「そうですね」

やはり相手次第だと思った直虎は、すぐに南渓のもとへ向かった。

「桜の縁組の相手と内緒で会いたいと?」

「太守様から頂いた縁組なので、普通に会いたいなどと言えば、余計な角が立ってしまいます。しかし、雪斎様の家の方ということならば、和尚様が上手く誘い出せるのでは?」

「それはできるが…会ってみて、とんでもない方だったらどうするのだ?」

「それでも一度は嫁がせなければいけませんが、頃合いを見て引き戻すこともありかと」

「ほう!…つまらんのぉ」と、南渓がケチつけた。

「桜の代わりに村の老婆を連れていくとか、粗相をして願い下げを食らうとか、もっと面白いことを考えるかと思ったのに」

「馬鹿馬鹿しい。そんなことをしても、では、別の娘を…となるだけです」

南渓はとぼけた顔で明後日の方向を向いている。

「お願いしますよ!」

直虎はきつく念を押した。

その頃、祐椿尼のもとをしのが訪ねていた。

「最近、今川の悪い噂を耳にします。そのお家に嫁ぐというのは…人質という意味合いも強いですよね…」

しのは桜たちの従姉妹であり、井伊の女としても気になっているようである。

「断れるお話でないのはわかっているので、せめてどのような覚悟で嫁げば良いかを祐椿様に伺いたくて…」

思わず笑う祐椿尼。

「ん?何かおかしいですか?」

「いや、殿も同じことを聞いてきたので…それで、和尚様に頼んで品定めをしに行くようです。そのうえで、断ることは出来ないが、できる手立てを考えると」

「いつの間にか殿らしい立派な方になりましたね」

しのと祐椿尼は二人で笑い合った。

「では、私の出る幕はなさそうですね。わざわざお時間いただきありがとうございました」

去って行くしのを見送りながら、たけが「しの様も随分大人になられましたね」と、つぶやく。

すぐに泣き叫び、自分のことだけで精一杯だったのが嘘のようである。

「ええ。もう立派なお方様です。私の出番もありませんね」

すると、たけは姿勢を正し、いつになく真剣な面持ちで切り出した。

「お方様…たけの願いをひとつ聞いいただきたいのですが…」

運命の対面

数日後、直虎と南渓は、ある寺で桜の縁談相手と会っていた。

「庵原助右衛門朝昌でございます」

とても紳士的な挨拶をする、立派な青年である。

「龍潭寺の南渓瑞聞と申します。こちらは井伊の領主の直虎です」

「このたびはお会いできて嬉しく思います」

男とも女ともわかりにくい、尼削ぎの短い髪を揺らして挨拶する直虎を、朝昌は亜食い入るように見つめている。

「…し、失礼しました。このお方が、先代の太守様の命令を覆した天晴れなおとわ様かと…」

「おや、ご存知でしたか」と、南渓が笑う。

「雪斎禅師がよく話していたと、父から聞いておりました」

直虎は赤面しながら「お恥ずかしい。あれは周りの皆の力あっての事です。まさか、このようにご存知の方がいらっしゃるとは…」

「今や、直虎様のことを知らない者など駿府にはおりませんよ」

「はっ?」

「女性であるが家督を継ぎ、とても変わったやり方で井伊を上手に治めている、面白いお方。無下にすれば大変なことになると」

勢いつく朝昌は、大きく息を吸ってから続けた。

「今川としては、どうしても関係を絶たれたくない。そのための、今回の縁組だと思います」

なんとも鋭く真っ直ぐな様子に唖然としている直虎に、朝昌はクシャッと顔を崩し微笑んだ。

「私は直虎様のお眼鏡にかなったでしょうか」

「…お見通し…でしたか」

「どうか、沈みかけた船を捨てず、一緒に修繕し立て直すこともお考え願えませんでしょうか」

屈託無く常に真っ直ぐな朝昌に、直虎は驚いた。

初対面の相手にここまで腹を割って話せるとは。

「わたしなどをそのように思っていただき嬉しく思います。ご期待に添えるよう、微力ながら尽力させていただきます」

笑顔で力強い返事をした直虎は、この青年を更に試しみたくなった。

「口で言うのは簡単ですが、人間は弱い生き物ゆえ、己の命が危機にさらされた時、それでも忠義を尽くすと言い切る自身がわたしにはない。庵原様は自信がありますか?」

「…あります」

「ほほう。それはなぜですか?」

「忠義を尽くし貫くことが、生き延びる唯一の道だと思うからです」

若くとも重みのある言い方は、信念を持っているからであろう。

「最後まで忠義を尽くした者こそ、敵でさえ惜しむような存在なのではないでしょうか。もちろん、別の考え方もあると思いますが、わたしはそう思っています」

南渓もうなった。二人して、骨のある男だと確信した。

帰り道、南渓が「立派な若者であったな」と言った。

直虎もその言葉に異存はなかった。

「しかし、思っていたより、そなたの働きは評価されていたのう」

「あれは迷惑な話です」

「阿呆な女子が治める大したことのない国と思われていた方が、井伊はよほど動きやすいのに」

そう言った直虎に南渓は「もうあの頃のおとわはいないんだな…」と、寂しそうに呟いた。

先程の朝昌とのやりとりも、南渓の出る出番はなく立派であった。

南渓に褒められて、泣いて喜んでいたとわの面影は、もはやどこにも見当たらない。

「つまらんなぁ」と、南渓がボソリと言った。

嫁いでいく女性の気持ち

屋敷に戻ると、祐椿尼のもとに桜が来ていた。

楽しそうな話声の聞こえる襖を開けると、桜が慌ててひれ伏した。

「ちょうどよかった、桜。つい今しがたこっそりと庵原様に会ってきたのだ」

「祐椿尼様から伺いました。申し訳ございません」

「いやいや、大事な桜を嫁がせるのだから当たり前のことだ」

「それで、どのようなお方でしたか」

祐椿尼も気になっている。

「実に実直で筋の通った若者であった。もう聞いているかもしれないが、今、庵原の家に嫁ぐ事はあまり喜ばしいことではない。しかし、あのお方を夫に持つことは、幸せなことではないかと私は思った。それでももし、我慢できないことがあればいつでも手紙をよこしなさい。一緒に文句を言ってやる」

黙ってうつむく桜に、改まった様子で直虎が今一度尋ねた。

「庵原に嫁に行ってくれるか?桜」

気が小さく控えめな性格の桜は、まだ決心がつかないようだ。

「聞いてみてはいかがですか?」

祐椿尼が促したが、慌てて首を横に振る。

「今聞かなければ、聞けないままに終わりますよ」

それでも遠慮をしているので、直虎は「どうした?言ってみなさい」と優しく微笑んだ。

桜には晴れ晴れとした気持ちで嫁いで行って欲しい。

「あの…庵原様は、もし直虎様が嫁げと言われたら、嫁ぎたいと思うような方でしたか?」

わ、わたしが?!

予想もしない質問に直虎は一瞬慌てた。

「あっ、その…年齢の釣り合いなどは抜きにして考えてください」

全く、控えめなようで言いたいことを。

「…失礼な」

ムスッとする直虎。

「わたしはまだ若いし、年よりも若く見えるし、領主でなければ、何の迷いもなく嫁ぎたいと思うわ」

笑いながら答えた直虎を見て、桜も緊張がとけた。

そして、きちんと座り直すと、改まって言った。

「殿、素敵なお話をありがとうございます。若輩者ですが、庵原のお家のため、井伊のお家のため、力の限りを尽くしたいと思います」

「桜、頼んだぞ」

しのが桜に事情を説明し、覚悟を決めさせたらしいと、あとで祐椿尼から聞いた。

「しの様が…」

「今度会うときにはお礼を言っておきなさい」

「はい」

と、そこへ高瀬がやってきた。

直虎を優しく包み込んでくれる人

「母様、お着替えをお持ちしました」

「…たけは?」

高瀬が困っていると、祐椿尼が言った。

「たけは…里に帰りました」

思いもよらない言葉に直虎は耳を疑った。

「最近は耳も遠くなり、物忘れや勘違いも多くなったので辞めさせていただきたいと…後ろ髪を引かれるから殿には会わずに行くと…」

話の途中で、直虎は部屋を飛び出した。

追いかけていくと道の先にとぼとぼと歩くたけの後姿があった。

あんなにも白髪が増え、あんなにも年老いていたのか。

どうして今まで気づいてやれなかったのだろう…

複雑な思いを胸に馬を走らせる直虎。

「たけ!」

「たけ!わたしだ!止まれ!」

たけはゆっくりと振り向き、直虎の姿を見て目を丸くした。

「…姫様!」

たけのそばまで来ると直虎は勢いよく馬から飛び降り、大声で怒鳴り散らした。

「許さないぞ!たけ!私のもとからいなくなるなんて!」

「しかし、もうお役にたつことができません…」

何度呼んでも気づかない、足はよろけ、言われたこともすぐに忘れてしまう…

そういったことが続き、決心したのだ。

「役になどたたなくてもいい!井伊の屋敷でよぼよぼになって最後を迎えればいい!たけの事はわたしが看取ると決めているのだ!」

しわくちゃの顔が、よりしわくちゃになる。

「私を置いてどこかへ行ってしまうなど、決して許さないからな!」

たけはしわだらけの手で直虎の両手を愛おしそうに包み込んだ。

「姫様じゃ。怒りっぽくて泣き虫で、こうと決めたら一直線、たけの言うことなどひとつも聞いてくださらない猪で…だけど…だけど、それはそれは愛情深く心優しい…私のとわ姫様」

「たけ…」

「最後にもう一度お顔が見れてたけは大変幸せです」

辞めたいなどと言ったら全力で引き止める事は分かっていた。

だから、最後の挨拶はせず、直虎の姿をひっそりと目に焼き付けて、屋敷に深々と頭を下げて出てきたのである。

それが乳母としての最後の仕事だと思っていたのに…

「しかし姫様はもう姫様ではありません。井伊の領主として判断しなければ」

「何を言っているのか意味がわからない」

「井伊の内政はまだまだ楽ではありません。たとえ乳母ひとりであっても、しっかりと役にたつ者をそばにおくべきだと思います」

「そんなこと、たけに指示されることではない!」

「…最後にひとつくらい、たけの言うことを聞いてくださいませ。姫様」

目に涙を浮かべて優しい顔で微笑むたけ。

何があっても、どんな時も、たけは無条件で味方をしてくれた。

いつも、姫様!姫様!と、どれだけの心配をかけてきたであろうか…

なのに何一つ恩返しもできないまま…

無鉄砲な自分をいつもいつも心配そうに見送ってくれていたたけを、せめて最後くらいは自分の手で送り届たい。

「たけ!里まで送るから馬に乗れ!」

直虎は精一杯の笑顔で言った。

「そんなとんでもないです」

「もうこれ以上たけの言う事は聞いてやらない!早く乗れ!」

「…しかたのない姫様です」

こぼれ落ちそうになる涙をこらえながら、たけを乗せた馬をひいた。

別れあっての新たな出会い

「たけは井伊のために自分から辞めたのですか」

政次が白い石を置きながら言った。

「…私は幸せものだ。龍雲丸たちのように自由には生きられないが、井伊のために一生を捧げてくれるものたちに囲まれている。もっと感謝しなければな」

「驚きです」

「ん?」

「今まで気づいていなかったとは」

口でも碁盤の上でも大きく負かされた直虎はムスッとする。

「…それでな、政次。桔梗様の縁談を取り持って欲しいのだが。今川家の忠誠も見せられるし、こちらから先に動くことで嫁ぎ先を選ぶこともできるだろう」

「今川の家臣にですか?」

「北条だ」

直虎はニカッと笑った。

「北条は今川の唯一の味方だし、怪しまれる事なく、動きを知ることができるかもしれない」

今度は直虎が黒い石をピシャリと置いた。

「…なかなかいいお考えかと」

直虎がうれしそうにしていた。

屋敷に戻ると、弥吉が血相変えて走り込んできた。

「な、直虎様!大変です!たけが死んだかもしれません!」

なんでも、たけの幽霊が出たと言うのだ。

「どこだ?どこ?!」

「ここです!ここに現れたのです!」

廊下の奥から祐椿尼と歩いてくるたけを見て、直虎も息をのんだ。

「…たけ」

軽快な足取りで歩んできたたけ、いや、たけにそっくりの若い女性がひれ伏した。

「は、母上、この者は?」

「たけの姪っ子の梅です。たが自分のあとを、と頼んでくれたのですよ」

「梅と申します。これからどうぞよろしくお願いいたします。殿」

礼儀正しくハキハキと挨拶した。

殿と言われて、姫様と言っていたたけの不在を思い知らされたが、そこにはたけと同じ顔をした、されども別の頼もしそうな娘がいる。

「よろしく頼むぞ、梅!」

そのうちまた、たけに会いに行こうと直虎は思った。

桜が駿府に嫁いで行ったのと時を同じくして、徳川家の嫡男である竹千代のもとに、織田家の徳姫が嫁入りした。

これに伴い、瀬名は惣持寺から岡崎城に移ることになった。

一方、井伊家では、桔梗と北条家輝の家臣である狩野一庵の息子との縁組がまとまったとの報告を、直虎が政次から受けていた。

「うむ、よいところだな」

と、そこに、方久が駆け込んできた。

「どうした?」

「材木の売先が見つかったと、中村屋から連絡がありました!」

「よくやった!方久」

この出来事が井伊にとって、後に大きな幸運を運んでくることになろうとは、この時の直虎たちは誰一人として知る由もなかった。


以上、おんな城主直虎24話のあらすじネタバレでした。

以下は実際に放送を見ての感想です。

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おんな城主直虎24話の感想

盗賊たちが去っていき、今度は今川から縁談を持ち掛けられました。

武家の縁談は相手の事を知らずに決めるものですから難しいですね。

瀬名や祐椿尼のように良い相手に嫁げば幸せになれるはず。

今回は武家に生まれた女性たちの幸せを考えさせられるお話しでした。

家臣になる事を断り去っていった龍雲丸

前回、龍雲丸に家臣になる事を断られてしまった直虎。

理由も適当なので納得がいきませんよね。

侍になる話を断れるのは何にも頼らず生きていけるからなのだろうと考えます。

そんな直虎に「買被りが過ぎる」と言う政次は、彼らも何かに頼りたいと思っている事を知っているようです。

やはり、どこかに定住して安定した暮らしを送る方が幸せでしょう。

直虎は百姓たちに様々な知識を教えることに。

いつの時代でも教養が必要ということですね。

こういうやり方で発展させていけば今川にも噂が流れてくるのは当然。

今川は『塩留(しおどめ)』をして武田に商いでの仕返しをする方法に出たようです。

海がない武田にとって塩がなくなると困りますね。

方久もこれに乗じて一儲けしたようで上機嫌。

どんどん立場が苦しくなる今川は、井伊に縁談の話まで寄越してきました。

新野の三女・桜に縁談が持ち上がる

武家の婚儀は権力争いの駆け引き。

利用される女性たちが不憫でなりません。

今回初登場の織田信長も恐ろしそうな人です。

徳川家康も織田と友好を保つのに命懸け。

政略結婚も瀬名の例を考えると、あながち悪い事ではないのでしょうが。

そうなると運任せになってしまいます。

その頃、瀬名に武田との縁談で手を組もうと密かに企んでいたことを打ち明ける家康。

今川の人質として育ち、自由の身となっても織田に縛られている事に飽き飽きとしているようです。

意外にもあまり欲のない人なのですね。

瀬名に膝枕をしてもらう家康、仲が良い夫婦でいてくれて安心しました。

家康に助言してやる気を奮い立たせるのも内助の功というやつなのでしょう。

新野の屋敷では三女・桜に縁談の話を伝えます。

次女の桔梗は良い縁談だと喜んでいるのに、長女のあやめは浮かない顔。

やはり手放しに喜べない縁談であることを気にしているのですね。

直虎の母親も、相手が良い人だったから幸せに暮らしています。

こうなると相手が良い人であることを祈るしかありません。

和尚に頼んで相手の人柄を探ることにした直虎。

やはり不幸になる縁談を結ぶわけにはいきませんよね。

しのも直虎がしっかり考えて動いている事に、すっかり信頼している様子。

嫉妬に狂っていた頃に比べると成長しました。

直虎は結婚相手となる庵原助右衛門に直接会って確認することに。

幼名まで知れ渡っているとは、直虎は駿府でかなりの有名人のようですね。

庵原は、なかなか頭が良さそうな人で堂々としています。

忠義のある若者で申し分のない相手。

幼い頃から面倒を見てきた直虎の成長ぶりに和尚は寂しそうです。

親の手を離れた子供のような感覚なのでしょうね。

年老いて里へ帰る乳母・たけ

直虎は桜本人に縁談相手の人柄を伝えて安心させます。

もし自分だったら嫁ぎたいと堂々と答えたことで桜の心も決まったようです。

この決意にはしのの後押しもあったようで、今では直虎にとって有難い存在となりました。

ひと段落したところで、直虎に別れを告げず屋敷を去っていった乳母・たけ。

幼少の頃から面倒を見てくれた乳母がいなくなり慌てて追いかけます。

黙って去っていくなんて直虎にとっては悔いの残る別れ方ですよね。

ちゃんと別れを告げることが出来てよかった。

井伊のために長年尽くしてくれたたけの気持ちを受け入れ里へ帰すことに。

最後に長年の働きを労うように馬に乗せて送っていきました。

政次と碁を打ちながら話し合う直虎は、次は北条と縁談を結ぶ相談をします。

この考えには政次も快く賛同しました。

ある日、屋敷には里へ帰ったはずのたけの姿が。

まさかたけの姪が来るとは思いませんでした。

この梅と名乗る女性、姪なのに瓜二つですね。

これなら寂しくないかもしれません。

井伊では桜が嫁ぎ、徳川では竹千代の元に徳姫が輿入れ。

桔梗も北条の家臣との縁談がまとまり、着々と事が進んでいます。

材木の商いも上手くいき、井伊にとっては朗報ばかり。

今回はとにかく縁談話で忙しいお話しでした。

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