おんな城主直虎 23話のあらすじネタバレと感想

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NHK大河ドラマおんな城主直虎23話のあらすじネタバレと感想です。

あらすじのネタバレは放送開始前に、感想は放送開始後に追記します。

⇒おんな城主直虎22話のネタバレと感想はこちら

⇒ネタバレと感想記事の一覧はこちら

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おんな城主直虎 23話のあらすじネタバレ

直虎が酒に呑まれ、龍雲丸にやたらと絡んだ宴会の翌日、小野のもとに近藤が現れた。

「菩提寺の本尊が盗まれた…?」

険しい顔の近藤の向かい側に座る政次が静かに聞いている。

「はい。それで犯人を探していたところ、聞き捨てならない噂を耳にしてやって参りました」

何やら含みのある言い方に嫌な予感がする。

「井伊様が、わが領土から木を盗んだ盗賊たちを罰することなく、可愛がっているなどと…」

なかなか勘の鋭い男である。

おそらく井伊が材木で商売を始めると言う噂を聞き、木を盗んだ犯人と結びつけたのだろう。

政次は、まるで図星を刺されたかのようにむせるように咳き込んだ。

「し、失礼。確かに木を切るものを他所から招きましたが、あれは例の盗賊でしたか!」

「ご家老たちはご存知なかったですか?」と、疑いの眼差しで政次を見やる近藤。

「残念ながら私は、例の盗賊の顔を確かめていなかったためよくわかりません。しかし、それは間違い無いのですか?」

「水面下で人を使って確かめましたので、まず間違いないかと」

宴会での直虎と龍雲丸の絡む姿が政次の脳裏に浮かんだ。

「ご立腹はごもっともです。すぐに盗賊を引き渡すように取り計らいましょう」

視界がぐるぐると回り、頭はズキズキと痛み、最悪の状況である。

「何の話だ」

家来の件を聞いてきた六左衛門に、昨夜の酒が全く抜けていない直虎は、だるそうに聞き返した。

「昨夜、頭に家来になれとしきりに誘っていたではないですか」

えっ?わたしがそんなことを!

楽しく酒を酌み交わした事は覚えているが、途中からの記憶がなく、朝からたけにさんざん説教されていたのだ。

「…他に何か変なことを言ってなかってか?」

「よく分かりませんが、どこかに隠し子がいるのだろうとかなんとか、しつこく聞いていらっしゃいました」

わたしはなにを言っているのか!

一気に酔いも覚めるほど血の気が引いた。

「方久!どうして私に酒を飲ませた!!」

「誰も勧めてなどおりません」

「ほ、他には何か…」

変な汗をかいていると、弥吉がやって来た。

「但馬様がいらっしゃったのですが、なぜか近藤様もご一緒で」

まずい!!

直虎たちは顔を合わせ「六左!すぐ頭に…」と言ったがすぐに、政次と近藤が現れた。

「何の指示をなさるつもりですか?」

一緒にして身動きが取れなくなる。

適当にごまかし、近藤の話を聞いた。

招かれざる客

「寺から本尊が盗まれたと言う知らせを受け調べたところ、こちらで山仕事をしている者たちに行き着いたので、調べさせてもらいたい」

完全な言いがかりだと直虎は直感した。

どう考えても龍雲丸を捕まえるための口実である。

「なぜあの者たちを?あの者たちが犯人だとでも言われるのか?」

「井伊様は、木を盗んだ盗賊たちを処罰することなく、仲間にしていると言う噂を聞いたので、あり得る話かと思いまして」

「井伊で働いてくれているのはあの時の盗賊ではないし、ましてや朝から晩まで働いていたため盗みに行く暇などありえない」

「奴らはどこで何をしているのかわかったもんではないですよ」

「ありえない!もうあの者たちは以前のような盗などはしない!」

なんたる失言…

ここぞとばかりに近藤がたたみ掛ける。

「ほほう、認めましたか。やはりあの者たちであったと言う事ですね。わが領土を犯した盗賊と知りながら罰することもなくこのような対応を…」

窮地に追い込まれたところで、六左衛門が声を上げた。

「私が頼んだのです!木を切る人材がおらず、あの者たちに頼むしかないと。殿はそれを認めてくださり、重労働という刑を課したまでです」

六左衛門も必死であるが、近藤も引き下がらないと決めていたようだ。

「私たちは奴らに木を盗まれたうえ、今回は菩提寺の本尊まで盗まれたのです!これ以上の侮辱は許されません!これでもなお井伊は当家を無下にするつもりですか!」

本尊の件はともかく、龍雲丸たちの件に関しては、返す言葉もない。

ぐうの音も出ない直虎に変わり、政次が口を開いた。

「近藤様のおっしゃる事はごもっともです。井伊はあの者たちを引き渡すと言うことでよろしいですか?それともまだ隠しますか?」

直虎の額に汗がにじむ。

政次を信じたいが、龍雲丸たちのことを喜んで迎え入れたわけではないこともわかっている。

いつものことであるが、政次の心が全く読めない。

苦渋の決断で引き渡すことを決めると、政次が案内すると言って近藤を連れて出た。

「直之、川縁を行き先回りするのだ」

政次の真意がわからない今、こちらはこちらで手を尽くすほかなかった。

「勝手に逃げてしまったとなれば、文句の言いようがないだろう。早く行き、頭たちを逃すのだ!急げ!!」

近藤に捕まれば、今度こそ本当に処刑されてしまうだろう。

頼む!逃げ伸びてくれ!頭…

直虎は手を合わせ祈り続けた。

一足違いで・・・

直之がたどり着いた頃には、小屋の周りに近藤たちがいた。

手遅れか…と、直之が悔しがっていると、近藤の怒鳴り散らす声が聞こえて来た。

「どういうことか!但馬様!もぬけの殻ではないか!」

「盗賊は鼻がききますので、一足先に逃げたのかもしれません」

「もしや但馬様が…」

近藤が政次に疑いの目をやると、「まだ近くにいるかもしれないので探しましょう!」と、政次は勢いよく言った。

その様子を見届けた直之は、急いで館に戻り直虎に報告した。

「で?頭たちは?」

「さすがは盗賊です。どのようにして異変を察知したのか分かりませんが、一足先に逃げたようです」

直虎は大きく胸を撫で下ろした。

数日後、直虎が六左衛門を伐採現場に様子見に行かせると、近藤の家来たちがまだ見張っていた。

しかし、龍雲丸たちの気配は全くないという。

「さすがにもうここには戻ってこないな…」

「気賀に戻ったのでしょうか」

「まぁ、隠れる場所はあちこちに確保しているでしょうし」

終わったことという風な直之と六左衛門に対して、直虎はまだ戻って来て欲しいと願っていた。

すると、南渓から呼び出しがあり、すぐに龍潭寺に向かった。

「なぜ、近藤様の菩提寺に寄進を?」

「あの者たちがご本尊を盗んだのだろう?」

「そんなの言いがかりです!」

怒ってそっぽを向くと、南渓が優しく説いた。

「なんと言えばいいのか、うまく言葉が見つからないのだが、もうこの辺で手を打ったほうがいいと思うのだ。こちらも悪いことをしたのは事実だし。まぁその辺をご本尊を贈ることでうやむやに…なっ」

白黒はっきりさせないと気の済まない性格の直虎にとって、この辺の微妙な塩梅がよくわからない。

「盗んでもないのに…」

「むやみに敵を増やす者ではない。頭を下げることも当主の役目であるぞ」

そう諭された直虎は、納得してはいなかったが、菩提寺へご本尊を寄贈しに行くことにした。

頭を下げて後始末するのも当主の役目?!

「ご本尊がそんな簡単に代用できるものと考えて欲しくはないですがね」

勝ち誇ったように上から目線の近藤に直虎はイラっとした。

「それはもう、重々承知いたしております。ちなみに、こちらのご本尊様はどなたが?」

愛想笑いを浮かべながら、丁重にことを進める南渓。

「康久仏師作のお釈迦様です」

この寺の和尚と南渓は付き合いがあるらしい。

「ご本尊が無事に戻られた折には、こちらの物はどう処分されても構いませんが、やはり、ご本尊がないというのは、心寂しいかと。僧侶であればなおさら…で、日々の読経などはどう
されているのですか?」

南渓は神妙な面持ちで話し続ける。

「朝も夕もご本尊のいない仏壇に手を合わせています」

「そもそも、どなたかがあの盗賊どもをさっさと処罰していれば、このようなことにもなりませんでしたのに」

近藤が直虎に向かって毒を吐く。

「直虎は僧でもありますので、厳罰に抵抗を感じたようでして…」

「そのような考えならば、仏門に戻った方がいいのでは?」

「これはこれは、手厳しいですなぁ。どうにか、このへんにしておいていただければ…」

幾度となく頭を下げる南渓を、拳を握り締めながら見守っていた直虎が「近藤様、私が不甲斐ないばかりに、騒動を引き起こしてしまった。本当に申し訳ない」と、深々と頭を下げた。

その姿に近藤が一瞬躊躇した時、南渓が切り出した。

「ご本尊が祀られていたところを見せてもらいたい。寄贈のために大きさなど確認しておきたいので」

和尚はすぐに、本堂に案内してくれた。

するとそこにはご本尊の姿が!

「あれ?ご本尊はなくなったのでは?」

「いや、あっ、あの…」

口ごもる和尚。

「こ、これはご本尊ではない!別のものだろう!」近藤も必死に誤魔化そうとする。

「しかし、先ほど朝も夕も空の仏壇に手を合わせていると…」

「えっ、ああ、その…」

「和尚!忘れていたのか?」

近藤に誘導されて和尚が答えた。

「あっ!あっ!そうでした!今朝、代わりのご本尊を納めたのでした」

ようやく直虎にも筋書きが見えて来た。

「そうですか。それにしてもちょうどいい大きさのものがありましたなぁ。では、失礼」

南渓が仏像を手に取った。

「立派なお顔をされたご本尊様ですなぁ。本物は確か、康久仏師作でしたかね…こちらは…」

!!!

「どうされましたか?」

直虎も一芝居打った。

「なんとまあ、驚いた!これも康久仏師作のものだ。ここにしっかりと銘がある!」

「近藤様、もしかしてこれは…?」

青ざめる近藤に、南渓はにこっと笑っていた。

「ご本尊様がご自分で戻ってこられたんでしょうね」

「そ、そう、そうですね」

「近藤様、ご自分で戻ってこられたのは仏の暗示ではないでしょうか。私は戻ってきたのだから、もうこの辺で収めなさいと」

「あ、いや!しかし…」

「全て見ているぞ!と」

鋭い南渓の眼力に、蛇に睨まれた蛙のような近藤。

「井伊と近藤様の今後の繁栄を祈願して、ご本尊にお経をあげさせてもらえますか?」

「ええ、もちろん、是非是非」

和尚も南渓に頭が上がらない。

「わたしも一緒によろしいですか?」

「もちろんです」

直虎と南渓は並んで読経を始めた。

一件落着を導いた導いたのは誰の案?

帰る途中、茶屋でくつろいでいると、南渓が言った。

「わしのところに頭がこっそり来てなぁ」

「え!」

天井裏に隠れていた頭に気付いた南渓が、事の次第を話したらしい。

「そんなもん、盗んでないですよ。大体、朝から晩まで働いてて、そんな暇ないですよ」

「向こうとしてはそこはどうでもいいのじゃよ」

「俺たちを捕まえるための新たな口実って事ですか」

「おお。なかなか鋭いなぁ」

「武家さんは、俺らを罪人だ悪党だと、よくいいますなぁ」

「本当に。自分のことは棚に上げてなぁ」

「和尚様、ご本尊が盗まれていないとしたらどこにありますかね?」

「本来ならば、動かすのも恐れ多いので、多分そのままにしてあると思うが」

そこで、先ほどの計画を龍雲丸が提案したと。

南渓が菩提寺に行くとなれば、おそらくご本尊をどこかへ隠すだろう。

そこで、南渓たちが話をしている隙に、龍雲丸が隠されたご本尊を盗み出し、もとに戻す。

嘘がバレて動揺する近藤を、南渓がうまく丸め込むという計算だった。

「盗賊にしか考えつかないお話ですな」

感心するやら呆れるやら忙しそうな直虎に、南渓が笑いながら言った。

「手放しで褒められたものではないが、見事なものだ。これで近藤も暫くはおとなしくなるであろう」

「…しかし、もう井伊には戻ってこないのでしょうね…」

寂しいような切ないような物悲しさがこみ上げてくる。

そんな直虎の気持ちを察してか、南渓が直虎の背後に目配せした。

「おい。どうするのだ?頭!」

驚き振り返ると、そこには龍雲丸が座っていた。

目を丸くして声も出ない直虎に、龍雲丸は噴き出した。

「俺もあの寺にいましたからねぇ」

「頭!殿が井伊に戻ってくるか聞いているのだが」

「そのつもりじゃなかったら、こんな面倒なことしませんよ。井伊に戻らないとお金ももらえませんし」

直虎の胸はじんじわと熱くなった。

「それに、俺たちは絶対にやってないとかばってくれたそうじゃないですか。じゃぁ、やってないことを見せつけてやらないと、尼小僧様が嘘をついたことになってしまいますよ」

ついに、直虎の涙腺が崩壊した。

「な、なにも泣かなくても…」

「…すまない。嬉しくて…」

安堵の涙を流す直虎と温かく見守る龍雲丸、その様子を肩をすくめながら見ている南渓。

今回もみんなに助けられた形の直虎であった。

もう一人の立役者

「本日ようやく全員揃いました!けが人などもおらず、安心しました」

山から戻った六左衛門が報告した。

「このあと、どうされるおつもりですか?」

直之が聞いてきた。

「木の切り出しが終わったら、何か別の仕事を頼めないものかと考えてはいるのだが…」

「井伊でに仕えてもらうというお話は?」

「あ、あれは、酔った勢いというか、なんというか…。直之はあの者たちを嫌っていたではないか」

「いやぁ、付き合ってみれば皆んないい奴ですし、知恵も腕も技もある。今回のことも見事でした」

「よく言うわ」

「自分はあの者たちを、井伊を守る家来衆にしたいと思います!」

なぜか嬉しそうに意気込んでいる。

「いいかもしれませんね。あの者たちがいれば、銭も寄って来そうですし」

確かに方久なら人材を上手く使っていくだろう。

「しかし…但馬はどう言うか…」

「今回ばかりは但馬も黙って見ているしかできないでしょう」

すると、六左衛門が割り入った。

「実はあの日、見知らぬ女性が逃げるように知らせに来たらしいのです」

「え!では、そのお陰で逃げられたのですか」と、方久も驚く。

「はい。詳しく聞いてみると、どうもなつのような感じで…」

「何故なつ様がそのようなことを?」

不思議がる方久に、六左衛門が言った。

「もしかすると、但馬様は引き渡すふりをして時間を稼ぎながら、裏であの者たちを逃すよう指示したのではないかと」

「そんなことがあるはずない。なつ様がたまたま話を聞き、かわいそうだと思って知らせてくれたのであろう」

直之は認めない。

「まぁ、そんなとこであろう」

口では直之に同調するふりをしたが、心の中では六左衛門の言う通りだとわかっていた。

咳き込む政次を心配するなつ。

「大丈夫ですか?」

「どうやら、本当に風邪をひいてしまったようだ。うつるといけないからあまり近寄らないように」

近藤が訪ねて来た時、妙なタイミングで咳き込んだのは、廊下にいたなつへの合図だった。

近藤の要件を察知していた政次は、事前に、おかしな咳をしたらあの者たちに逃げるよう知らせに行ってくれと、なつに指示しておいたのだ。

「貧乏くじを引き、風邪もひき…義兄上は賢い方だと思っていましたが、なつにはだんだんわからなくなってきました…」

これほどまでの愛と忠誠を直虎はわかっているのだろうか。

そんななつの思いを察したかのように、殿が来られたとの知らせが入る。

政次は表情を曇らせながら立ち上がった。

直虎に頭を下げ挨拶した途端に、政次はゴホゴホと咳き込んでしまった。

「具合でも悪いのか?」

「いえ、大したことはありません。それよりも、ご用件は?」

「あの者たちが帰って来たことは聞いていると思うが…家来として井伊に迎え入れようかと思っている。政次もそれでいいか?」

「どうぞお好きなように。その件に関して私は今口出しできる立場ではありませんので」

ひとりで悪者ぶって、いつまで芝居をするのだろう。

「本音を言ってくれ。なつを使ってあの者たちを助けてくれたのは、他ならぬ政次でないか」

政次はピクリと反応した。

「引き渡してしまえば殿がまた大騒ぎするでしょう。それが面倒だったので。あの者たちに情けをくれたわけではありません」

「では、家臣に迎えるのは反対か」

「どうせ言ったところで、もう決めているのでしょう」

「そんなことない。今回の事は政次の考えに従おうと考えている」

まさかの言葉にさすがの政次も動揺した。

「政次が、誰よりも井伊の事を考えてくれているのはわかっている」

全身全霊の信頼を寄せて真っ直ぐに見つめてくる直虎の瞳に飲み込まれそうになる。

「反対はしません。井伊のためにあの者たちを使うのはいいと思います。しかし、くれぐれも、あの者たちのために井伊を使うことのないように。もし、そのようなことがあれば、私は
本当に殿を追放する事を考えなければなりません」

「…わかった」

驚きの提案

夜が明けると早速、直虎は六左衛門とともに龍雲丸のもとにやってきた。

「改まって、何かお話が?」

直虎は少し緊張した様子で話し始めた。

「この仕事が終わったら、どうするつもりだ」

「とりあえず、気賀に戻るつもりですが」

「…そうか」

深く息を吸い込み気持ちを落ち着けてから、直虎は一気に吐き出した。

「このまま井伊に仕える気はないか?もちろん、お前だけではなく、皆んなまとめて」

きょとんとする龍雲丸に直虎は続けた。

「武家を嫌っているのはわかっている。しかも、もともと武家の息子だったということも」

驚きを隠し切れない龍雲丸。

「武家の息子が武家を泥棒と呼ぶほどに嫌うにはよほどのことがあったのだと思う。だが、できれば考えてみてくれないか」

「はあ、まぁ」

いつもと違い、かなり歯切れが悪い。

返事はお金を渡すときにと約束し、直虎は小屋を後にした。

追いかけてきた六左衛門に「あれは来ないな!多分!やっぱり来ないわ!」と、嘆いた。

失敗した!ダメだ!もっと上手な話し方はなかったのか!後悔する直虎に、「わかりませんよ」と六左衛門が言ったが、直虎はひとりブツブツ言いながらドスドスと山を下った。

その晩、龍雲丸は木々の隙間にこぼれ落ちる月明かりを眺め、ぼんやりしていた。

ふと、血生臭さが鼻をついた気がした瞬間、忘れた去りたい過去の記憶が鮮明に蘇る。

血まみれになりバタバタと人が倒れる城の中で立ち尽くす十歳の自分。

ガタガタと震えが止まらない。

その恐怖は脳裏に焼きついていて、大人になった龍雲丸を今でも苦しめる。

直虎の話を聞いていてモグラが、声をかけてきた。

「もう一度やり直せるかもしれませんよ。悪い話じゃないと思います」

「みんなは喜ぶか?」

「なんだかんだと言ってもやはり武士になれると聞けば喜ぶのでは。しかし、頭はやっぱり引っかかりますか」

「武家は大泥棒だと言い回ってきた手前もあるしな」

「それを言うならみんな同じです。しかし、あの尼小僧様が信頼できるということは、みんな気づいていますよ」

新たな決断の時

モグラの勧めもあって、龍雲丸は翌日、皆を集めて直虎からの申し出を伝えた。

さすがにみんな戸惑っていた。

盗賊だった自分たちが侍になるなど想像もつかない。

「おらは、なりてぇ!ここで百姓になりてぇ!」

ゴクウが手を上げて言った。

「どうやらこのあいだの娘に惚れたらしいぜ」と、力也が笑いながら言った。

「確かに悪いところではない。退屈だけど」

「侍かぁ…」

皆浮き足立っている。

「頭はいいのですか?それで」

「あの尼小僧なら、助けてやってもいいと思える…かな」

「俺は頭について行きます」

「よし!じゃあ決まりだ」

龍雲丸が、住むところなどの条件を尋ねて来たと聞き、直虎はワクワクしていた。

「早速色々と考えてやらねば!」

それから約束の日までの間、受け入れ準備にせいを出した。

打ち掛けまで用意させられたたけがブツブツ文句を言った。

「たかが盗賊あがりに…」

その様子を見ていた祐椿尼と高瀬は「まるで少女のようだ」と目を細くした。

そして、約束の日がやってきた。

新たな家来を迎えるため、家臣たちは正装している。

直虎はいつも通りの尼小僧姿で「平常心、平常心」とつぶやいている。

空には見事な龍雲が立ちのぼり、明るい未来を感じさせる。

おかげで龍雲丸たちがやってきたときには、ゆったりと落ち着いた気持ちで迎えることができた。

「頭、お勤めご苦労であった」

「三ヶ月間、お世話になりました」

賃金の支払いを終えた直虎は、お受けします!と返ってくるであろう質問を改めてした。

「で、返事を聞かせてもらおう」

皆期待を込めた眼差しで龍雲丸を見た。

「断ります」

「こ、断る?」

「侍になるんじゃなかったんですかい?!」

直虎たちだけでなく、ゴクウや力也達にとっても、予想もしない返事が返ってきた。

「お前らがなるのはかまわないよ。ただ、俺は…やっぱ武家に勤めることはできねえ」

「なんでた?!」

直虎は思わず叫んだ。

「それは…空に雲があったから…」

あの見事な龍雲?

「なんじゃそりゃ」

そこにいた誰もが理解できなかった。

が、なぜか政次はひとり密かに吹き出した。

「そんなふざけた言い訳が通用するか!!」

直之が、激怒した。

「わかってもらえなくてもいいですから」

去ろうとする龍雲丸に、直虎の気持ちを代弁するかのように六左衛門が言った。

「もう少しわかるように言ってくれないか。私たちはあなたたちが来るのを楽しみに待っていたのだ。これでは納得がいかない」

「やっぱり柄じゃないんで。それじゃ」

軽くお辞儀すると、くるりと振り向きスタスタと歩き出す龍雲丸。

その後をカジ、モグラ、力也にゴクウが慌ててついていった。

何が起こっているのか理解できていない直虎は、ただただ呆然とその背中を見つめていた。


以上、おんな城主直虎23話のあらすじネタバレでした。

以下は実際に放送を見ての感想です。

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おんな城主直虎23話の感想

盗賊たちが井伊の人たちと打ち解けてくれて上手くいったように見えましたが、今度は近藤の問題が出てきました。

罪人を引き渡せというのは正当な要求なので聞かないわけにはいかず苦しい立場でしたね。

南渓和尚のおかげで切り抜けることができましたが、まさか龍雲丸が家臣になる事を断ってくるとは。

龍雲丸の過去に謎の深まった今回でした。

盗賊たちを引き渡すよう要求される

盗賊の力を借りて材木の商いを始めた直虎。

盗賊たちと井伊の人々を仲良くさせてしまう直虎の不思議な魅力に龍雲丸も惹かれているようです。

木を盗んだ盗賊たちを匿っていると聞きつけ近藤がやって来ました。

政次はどうするつもりなのでしょうか。

一方直虎はお酒のせいで昨夜のことを一切覚えていないのですね。

酒癖が悪いという意外な一面が見えました。

今度は近藤に盗賊たちを引き渡すかという話になり、どうなってしまう事やら。

近藤に捕まる前に盗賊たちを逃がすことにしたようです。

罪人を引き渡さないわけにはいきませんし、これしかありませんよね。

直之より先に盗賊たちの元へ辿り着いた近藤。

既にその場を去った後で安心しましたが、どこへ行ったのでしょうか。

行方不明になってしまった彼らが心配です。

御本尊の寄進を提案する南渓和尚

御本尊を寄進して近藤と和解することを提案する和尚。

盗んでいなくても近藤を黙らせるにはそうするしかないのでしょう。

この事を出掛けた後に奥山から聞かされた政次は不機嫌そうですね。

直虎も不本意ながら近藤に頭を下げて謝罪することに。

御本尊のあった場所へと案内してもらうと、そこにはちゃんと御本尊がいました。

近藤は別のものを置いたのではと困惑しながら誤魔化しますが、康久仏師と書かれた作者のサインがあっては言い逃れできませんよね。

御本尊が自ら戻ってきたのだと言って場を収める和尚ですが、なぜここに。

龍雲丸は和尚にだけこっそり仏像を盗んでいないことを伝えに来ていたようで。

盗んだと濡れ衣を着せて捕まえるつもりだったとは酷い話です。

二人で組んで御本尊を元の場所に戻し、これ以上近藤が口出しできないようにしたのですね。

自演自作で新たな罪を被せようとは酷い人たちです。

行方知れずの龍雲丸とも再会できてよかった。

戻ってくる意志もあるようで、嬉しさで涙まで出てきた直虎は可愛らしかったです。

直之も彼らとすっかり仲良くなったようで、自ら盗賊たちを召し抱えることを推薦してきました。

直虎より先に盗賊たちを逃がした政次

盗賊たちは、先に追っ手が来ることを知らせに来たなつのおかげで逃げることができたようです。

ということは逃がしたのは政次ということになりますね。

近藤が来た時点で察していたようで、咳でなつに合図をしていたとは。

ただ、その後も咳が続いているのが心配です。

盗賊たちを召し抱える前に、今度はちゃんと政次の意見も聞くことにした直虎。

本当に井伊を守ろうとしている人なのですから相談するのは当然ですよね。

彼らのために井伊を使わぬよう忠告されましたが、使うことがやってくる伏線でしょうか。

しかし、龍雲丸も武家に対しては根深い何かがあり悩んでいる様子。

井伊に仕えることを悩んでいると意外にも盗賊たちが背中を押したようです。

直虎たちにとっては朗報ですが、政次の心境は複雑なようで。

政次となつはすっかり夫婦のようになっていますね。

一番近くで世話をしてくれるなつとは信頼し合える仲なのでしょう。

直虎の方は乙女のように気分良さそうに着物を選んでいます。

それなのに本番にはいつもの姿で現れました。

高瀬から「乙女のようじゃ」と言われたのが恥ずかしくなったのでしょうか。

空には登り龍のような雲が浮かんでいて、龍がこの日を祝っているかのようです。

盗賊たちと一緒に現れ満足気に報酬を受け取った龍雲丸。

どう考えても良い返事が返ってくるように見えましたが、まさか断ってくるとは。

よく分からない理由で断られ落胆する直虎。

盗賊たちが大賛成していたとはいえ、過去の事を思うと簡単には仕えることができないのでしょう。

明るく振る舞っていても心に抱えた闇は深いのかもしれません。

今後、龍雲丸の素性がどのように明かされていくのかが気になりますね。

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