おんな城主直虎 20話のあらすじネタバレと感想

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NHK大河ドラマおんな城主直虎20話のあらすじネタバレと感想です。

あらすじのネタバレは放送開始前に、感想は放送開始後に追記します。

⇒おんな城主直虎19話のネタバレと感想はこちら

⇒ネタバレと感想記事の一覧はこちら

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おんな城主直虎 20話のあらすじネタバレ

直虎と祐椿尼は、龍潭寺で南渓に見守られながら、十代半ばの娘と対面した。

直親の面影は…よくわからないが、可愛らしい顔をしている。

身なりは質素で、百姓の出を感じさせる。

直親の隠し子…信じたくはないが、放って置くわけにもいかない。

とにかく胸中穏やかでない直虎は、いつの間にか怖い顔になっており、娘を怯えさせていた。

見かねた祐椿尼が口を開いた。

「高瀬というのですか」

「へ、へえ」

「母親が亡くなる前に、父は井伊の亀之丞だと聞いたそうで、その話を頼りにここまで来たんだよな」

南渓が確認するように言った。

「へい。お母の名前はユキといいます」

「えっ!」

突然、直虎が奇妙な声をあげ、頭を抱えた。

実名を聞いたことでやけに生々しさが増し、見ず知らずの女性像が脳裏に浮かんできたのだ。

高瀬はそのまま続けた。

「ユキと申しまして…」

「亀之丞はもうこの世にはおりませんよ」

「先ほど和尚様から聞きました。…あの…娘がいるという話は聞いたことはないですか?」

直虎がハッと顔を上げ、南渓たちを睨みつけた。

「わたしはありませんが…」

「わしもなくてな」

ホッとした様子の直虎。

「…そうですか、!では、おらの聞き違いかもしれないな」

肩を落とす娘が可哀想で、どうしたものかと南渓と祐椿尼が顔を見合わせた。

「ありがとうございました。お邪魔しました」

丁寧に手をつき、挨拶した。

「しかし、他に行くところはあるのか?」

祐椿尼が不憫に思い声をかけた。

「自分ひとりくらい、どうにかなります!」

「しかし、お母様もいないのでしょう?」

「親のいないものなんてたくさんいます」

健気で前向きな様子にのやり取りに、チクチクと胸の痛んでいた直虎が、ついに迷いを吹っ切った。

「しばらく、井伊の屋敷においてやってはどうか?もし本当に亀の娘だったとしたら、放っておくわけにはいかないであろう」

直虎の口から、そんな言葉が出るとは想像もしなかった南渓と祐椿尼は、呆気にとられている。

「お前の父かもしれないという亀之丞は、井伊の当主だったのだ」

直虎の説明に、高瀬は飛び上がり驚いた。

「お前の母が言うことが本当であれば、お前は井伊の姫ということになる」

「ひっ、ひ、姫…さま…」

あまりの焦りように、嘘をついているようには見えなかった。

「あ、あの…あなた様は亀之丞様の…?」

妙な外見と、当主のような口ぶりの女子が、高瀬の目に不思議に映ったのは当然である。

「わたしか?わたしは今の井伊の当主、井伊直虎である」

「女子の御当主様ですか?」

「とにかく、お前が本当に直親殿の娘かどうかはっきりするまでここにいると良い」

最後は当主らしく落ち着いた様子で告げた。

井伊に身を置くことになった娘

祐椿尼がそのまま井伊の館に連れ帰り、たけが部屋を案内した。

キョロキョロと落ち着きのない様子から生まれや育ちが見て取れる。

案内したけも、不思議そうであった。

「本当に直親様のお子様なのでしょうか?もしそうならば、姫様と夫婦約束していたときの子ということになりますよね…」

祐椿尼も口には出さなかったが、裏切られたような気持ちであった。

「まぁ…色々と思うところはあるでしょうが、それは置いておいて、井伊の当主としてきちんと判断されるでしょう」

寺に残った直虎は、昊天と傑山に、直親からユキという女性のことを耳にしたことがないか尋ねてみたが、2人とも全く覚えがないと言う。

南渓にも聞いてみたが、やはり聞いたことはないという。

「もしかしたら、直虎様自身も知らなかったのではないですか?」

「そうですね。直親様を預かられていた松岡様がかわいそうに思い、誰かをあてがわれただけの事かもしれません」

直虎を慰めようとしているのがありありとしていた。

「…私は別にことの成り行きを気にしているわけではなく、井伊の当主として、本当に直親の血を引くのかどうかを知りたいだけです」

南渓が、無理をするなと言わんばかりの顔で見ている。

「とにかく!私は全く気にしていません!和尚様、松岡様にも伺ってみてください」

語気を荒げながら言い放ち、館に戻ると祐椿尼が、今回の件をしのに伝えるべきか相談に来た。

「どうしますか?とりあえず知らせておきますか」

「真相がはっきりしてからでも良いのではないですか。余計な心配をするだけでしょうし」

伏せておくことに決め、話を終えると同時に、廊下に足音が響いた。

驚いて廊下を覗くと、物凄い形相のしのが怒鳴り散らしながら近づいて来た。

「娘はどこだ?娘を出しなさい!」

すると、高瀬が恐る恐る顔を出した。

今にも摑みかかるのではないかと心配した直虎は、間に割って入り、しのを別室に誘導しようとした。

しかし、しのは直虎には見向きもせず、意外と冷静に、高瀬に尋ねた。

「お名前は?」

「高瀬と申します」

「こちらはあなたの父かもしれない人の妻であるしの様です」

直虎は、落ち着いた様子で紹介した。

「奥様…」

「あなたが直親様の子供ならば、わたしの息子と姉弟になります。それならば、新野の屋敷に顔を出しなさい」

高瀬のことを寛容に受け入れたしのを誘い、直虎は自室で話を始めた。

昼間に寺で高瀬と対面していたのを虎松が覗き見していたらしく、「私には姉がいるのですか?」としのに尋ねてきたらしい。

「今、身元の確認作業をしているので、もうしばらくお待ちください。もし本当に直親殿の子供であれば、ご立腹のことと思いますが、どうか…」

「…ふっ」

唇を噛み締めたしのの頬を涙が伝った。

やはり、よほど我慢していたのだろう。

「しの殿…」

「哀れな直虎様…」

「???」

「わたしとは出会う以前の話ですが、直虎様にとっては…苦渋の決断の末、出家までしたのに、その間に直親様はどこかの女性と楽しんでいたということでしょう?」

改めて言われると、なんだか嫌な感じがする。

「直虎様が厳しい修行に耐えていた時に、女性の前で得意の笛を吹き、甘い言葉をかけ、あげく、子供まで…」

そう言いながら、しのはニヤニヤし始め、涙を流したまま噴き出した。

直虎の顔は見る見る紅潮し、怒りに肩を震わせていた。

「わたしはそんなこと全く気にしていない!高瀬が本当に娘なら、虎松に姉ができ、娘が増えれば、調略もできる!直親がよこしてくれた宝だと思っている!」

「なんとまぁ、ご立派なこと。しのにはとても真似できませんわ」

益々笑いが込み上げるしの。

「わたしは当主なのだから、当然だ!」

「これはこれは、失礼いたしました」

しのが退室した後も、直虎の怒りは収まることを知らなかった。

その夜、虎松と一緒に寺での様子を見ていた亥之助に話を聞いたなつが、政次に知らせていた。

いつも冷静で顔色ひとつ変えない政次が、珍しく動揺していた。

「そ、そうか…そのような娘が…」

直虎のことが心配であった。

果たして娘は何者なのか?

翌日、主殿では評定が開かれた。

直之が、窃盗事件の報告をする。

「村中に確認しましたが、今の所、他に荒らされたような場所はありません。何か異変があればすぐに知らせるように言ってあります」

脱獄した男の件は、政次が近藤に上手く取り計らってくれたが、依然として、行方はつかめず、事件は未解決のままだった。

「うむ。他になにかあるか?」

六左衛門が何やら言いたげに、直之に合図を送っている。

直之は、姿勢を正してから、切り出した。

「あの…直親様の娘かもという方の事ですが…もし、本当に娘であれば、家内に加えられるのがいいのではないかと、私達は考えています」

「のう」と六左衛門に言うと、六左衛門も話を続けた。

「人不足の井伊に娘が入れば、縁組などの調略も出来ますし、何より、虎松様に姉ができます。直虎様にはお辛いことと思いますが…」

まるで、直虎が直親の裏切りへの嫉妬心から、高瀬を排除しようとしているかのような言い方に直虎はムッとした。

「そんなことは、言われなくてもわかっている!最初からそのつもりだ!」

そこへ、政次が入ってきた。

「その者ですが…武田の里から来たとのことですが、武田の間者ということはありませんか?」

「間者?あのような子供が?!」

そんなわけはないだろうという顔の六左衛門と直之。

「先ほどお見かけしましたが、あのくらいの歳であれば十分可能かと」

花を生ける祐椿尼とたけに、手伝いを申し出ていたところを見たらしい。

見かけは垢抜けない田舎娘であるが、意外と観察力もあり、気が効くようだ。

「そんなわけないだろう!お前は、井伊の親戚が増えるのが面白くないのであろう!」

常に政次を目の敵にしている直之が、言い放った。

高瀬はまだあどけなさの残る娘である。

「それはさすがに考えすぎじゃないか?」

直虎も言ったが、政次は呆れた様子で応えた。

「もうすぐ報告が入ると思いますが、今川と武田が不穏な動きを始めています。そのため、今、井伊に武田の間者が入っても、全く不思議ではありません。よくお考え下さい」

政次の言葉に感心しながら、自分の甘さを責めた。

評定が終わり、庭に目をやると、祐椿尼が嬉しそうに美しい花を手にしていた。

「祐椿尼がお花が好きだと話したら、高瀬殿が崖をよじ登り、摘んできてくれたのです。もう、こちらは怖くてヒヤヒヤしました」

初めは気に入らない様子のたけであったが、花一本で心を許してしまったようだ。

「おらは、身が軽いのだけが取り得だから」

身が軽い…間者にとっても必要…怪しく見えてくる。

そのころ、岡崎城では家康が氏真からの書状に目を通していた。

桶狭間で今川が敗戦して以来、今川とともに三河統一に尽力してきて、早五年。

そこに氏真からの書状とあり、気になって仕方のない様子の酒井忠次が、まだ書状を読んでいる途中の家康に話しかけた。

「で、今川はなんと?」

「今川は、いまだにいざこざの続く引馬の飯尾を許してもいいと言っている」

引馬城主である飯尾連龍は、桶狭間の戦いの後、今川に反旗を翻し、氏真と争っていた相手である。

「武田の動きが怪しくなってきたので、今度はこちらと手を組みたいと言うことですか」

家康の左腕とも言える石川数正が鋭く切り込む。

忠次が右腕の猛将であるならば、数正は左腕の知将といっても過言では無い。

「今川も苦しいだろうし…」

家康のつぶやきを、忠次は聞き逃さなかった。

「まさか!お世話になったこともあるしなどと考えてはいませんか」

見透かされているようで思わず家康はギクリとした。

「今川は松平を踏みにじった敵!さらに殿は人質になっていたではないですか!まさかお忘れではないでしょうね!」

「わ、忘れてはいないが…」

今川とは決別したが、人質にとられていた際にひどい扱いをされたわけでもなかったため、家康は複雑な心境であった。

「しかし、もし殿が情けをかけようと思われたとしても、今の我々にそのような力はありません」

鋭い数正の言葉に、家康も忠次も黙り込んだ。

昨年、三河で起こった大規模な一向一揆をようやく鎮圧したばかりで、今後はこれを穏やかに安定させていかなければならない。

「…常慶…おるか?」

家康の呼びかけに、どこからともなく山伏が現れた。

「引馬に戻って、状況を確認して知らせてくれ」

忘れ形見?

「武田からの間者かぁ…」

直虎の話を聞いた南渓は、硬い表情で不精髭を撫でている。

「そんなことまで考えなければいけないのか、武田の手の内を知るためにも、常慶に話を聞きたいのですが」

「常慶からはまだ連絡がないが、松岡様からは連絡があったぞ」

直虎は慌てて書状に目を通した。

確かにユキと言う女性は存在し、直親と2人でいるところを見かけた人もいたが、子供を設けるほど親密であったかどうかわからない、と。

「他に詳しく知る者はいないでしょうか?」

がっかりする直虎に、南渓が妙なことを言った。

「私は誰の子供だと思う?」

「おおじじ様の子でございましょう」

「確かに表向きはそうだが、本当は母の裏切りでできた子供なのだ」

思いもよらない話に直虎は息が止まりそうになった。

「おおじじ様は最後まで知らなかったがな。しかし、母は何があっても井伊を継ぐような事があってはならないと、あれこれ理由をつけて寺に放り込んだのだ」

「ご、ご冗談を…」

ようやく出た言葉であった。

動揺を隠しきれない直虎を、静かに見つめていた南渓。

「ありゃあ?信じなかったか?」

そう言っていつものように大きな笑い声を上げた。

「つまり、誰が親かというのは、これだけ曖昧なことだと言うことである。どれだけ事情を確認しても、血がつながっているかどうかなど分かるはずがない」

それを言うためにこのような作り話を…

「では…やはり追い返したしたほうがいいですか」

「そこはご家老としっかり話し合うと良いのではないか」

南渓の助言通り、直虎は政次の元へ向かった。

「但馬、娘が間者だとして、偽の情報を与える手段も考慮したうえで受け入れると言う事はありだと思うか?このまま追い返すのも可哀想でな」

「…ない事はないでしょうが、そこまでして受け入れる必要もないと思います」

「しかし、もし本当の娘であれば、井伊のためにはとても良いことだし」

「間者の疑いのあるものを、追い出すことも井伊の為だと思いますが」

「しかし、どちらとも言えないのであれば、受け入れても…」

あまりの馬鹿ばかしさに腹が立った政次は、思わず声を荒らげた。

「もし追い出したとしても、格好はつくと言っているのだ!」

「かっ、格好?」

「もし追い出したとしても、当主としての体裁は守られるだけの状況だと言っているのです!」

女の嫉妬などというくだらない判断で追い出すのではない。

何よりも、これ以上お前が傷つく事はない!

政次の真意に気づいた直虎は穏やかに話し出した。

「そんなことのために、間者だなんだと言い出したのか?」

「誤解しないでください。本当に間者かもしれません」

「政次、気持ちは嬉しいが…」

その時、廊下から高瀬の鼻歌が聞こえてきた。

「これは…!」

その歌に直虎と政次は息をのんだ。

間違いない!

それは、幼い頃、鶴丸ととわが争うたび、亀之丞が笛で吹いてくれていた曲であった。

思わず部屋を飛び出す直虎と、それを追う政次。

「その歌は?」

「あっ。亡くなったお母がよく口ずさんでいた曲です」

決定的な証拠のように思えたが、政次は、歌など何の証拠にもならないと言う。

しかし、直虎にとっては、高瀬の母親の前で美しい笛の音を披露する亀の姿が目に浮かんでしまったのである。

「もういいではないか。高瀬は井伊のために直親が残してくれた忘れ形見だ」

そう言って笑う直虎を、政次は直視できなかった。

直親に思いを寄せる女ふたり

気づけば井戸端に佇んでいた直虎。

あの後、高瀬に本当の姫であったことを告げると、高瀬はしゃくりあげて泣いていた。

「申し訳ございません。お母は…直虎様に対して、ひどいことをしていたのだと知りました。本当に申し訳なく…」

「お前は直親の娘で、これからはわたしの娘である」

わたしの娘…

心底からそう思っているわけではない。

しかし、これでいいのだと自分に言い聞かせる。

どうしても気持ちがついていかず、気が抜けたように井戸端に腰掛け、物思いにふけていた。

人の気配で我に返ると、横にしのが立っていた。

「あ、しの殿、知らせは聞かれましたか」

直虎は明るく振る舞った。

「先ほど…」

直親の娘のお披露目の席を設けるので、皆でお越し下さるようにと、祐椿尼が新野の屋敷に伝えにきたと言う。

「まぁ、そういうことで。井伊はめでたく姫を得ることになった。お披露目の席には、ぜひ虎松も連れてきてください」

何がめでたいのだか、から元気も甚だしい。

がっくりとうなだれていたくせに。

しかし、不思議とそんな直虎をあざ笑う気持ちにはならなかった。

「きっと…寂しかったのですよ。ただそれだけです。直虎様のことを忘れていたわけではないと思います」

哀れみではなく、いたわりの気持ちの伝わるしのの口調であった。

よきせぬ言葉に驚きながらも、直虎は慌てて否定した。

「しの殿。この前もいましたが、私はそのような事は全く気にしておりません」

「そうでなければ、2人の絆に悩まされ続けた私の気持ちはどうなるのですか」

初めてしのの本心を耳にした、直虎は絶句した。

夫の心を支配しているのは、出家した元婚約者であることに気づいてから、直親が死んでもなお、しのは直虎を恨み続けた。

妻として共に暮らし、ともに寄り添い、どれほど尽くしたとしても、自分は直虎の身代わりでしかない。

朝も昼も夜も、眠っている間の夢の中でさえも嫉妬に苦しんだが、虎松を身ごもっててから、ようやく自分が認めてもらえた気がした。

しかしやはり、最後の最後まで夫の心を支配していたのは直虎であった。

しのは直虎を恨むことでしか、自分を報いる方法を知らなかったのである。

今の今まで…

「では…」

立ち去ろうとするしのの背中に向かって、直虎が思わず声を上げた。

「直親は戻ってきたときに、何と言ったと思うか!」

しのの足が止まった。

「わたしが出家すると言った時、なにがなんでも井伊に戻ろうと思った、と」

「…」

「死の淵に立ったときには私の顔が浮かび、絶対に生きてとわに会いたいと。だから、俺が戻ってこられたのは、おとわのおかげだと、そういったのだ!まるで、四六時中私のことを思っていたかのように!」

「どこかの女性と肌を合わせ、子供まで作りながら」

「そうだ!それだけではない。一緒になれないと告げた時、おとわの人生を奪ってしまったと言った。しかも、葬らなければならないのは俺の心だなどと、くすぐったいような言葉まで…都合の悪い事は勝手に葬りながら、よく言ったもんだ!」

「そのようなことまで…」

黙って聞いていたしのも、だんだんと怒りがこみ上げてきた。

「最後の最後には、私が男であったら良かったと言った時、俺の唯一の美しい思い出がなくなってしまうから、それは困ると言ったのだ。よくもそんなことが言えたものだ!なくなったのは私の美しい思い出だ!」

一気に怒りを吐き出し、息を切らす直虎に、少し間をおいてしのが言った。

「実は私、ずっと思っていたのですが…直親様はご自分がかっこいいことを知りながら、それを武器にしていたのではないかと」

直虎は目を見開いた。

「しの殿も、感じていましたか!」

「この際なので私も言わせてもらいますが、私がやきもちを焼いたときなど、しのの怒る顔が見られてよかった。次郎様に会った甲斐があったと言ったのです」

「なんだ!それは!」

「虎松が生まれて、但馬が土地を戻した時には、しのが虎松を産んでくれたおかげだ。俺はしのに井伊を捧げる、と」

「わたしには、井伊の姫に捧げましょうと言っていたぞ!」

二人は目を見合わせ言った。

「なんという二枚舌!」

「いや、きっと高瀬の母にも甘い言葉をかけていたに違いない」

「それでは、三枚舌ですか!」

「間違いない!」

「この〜スケコマシが!!」

しのが吐き捨てるように言った。

「…スケコマシ?!」

「スケコマシでしょう!私達はまんまとスケコマされたのです!」

すると突然、直虎は井戸の中に首を突っ込み「卑怯者〜」と大声で叫んだ。

「勝手に先に逝きよって、これでは恨み節のひとつも言えないではないか!」

この、初代様が拾われたという、神聖な井戸であれば、直親のいる天国につながっているかもしれない。

しのも井戸の中に首を突っ込み叫んだ。

「だまし討ちなど卑怯です!」

「なんとか言え!このスケコマシが!」

二人の罵声が虚しくこだまするだけで、直親の言葉など帰ってくるはずもなかった。

「…仕方がないから育ててやる。生きて側で成長を見守りたかったと悔しがるほど良い女に育ててみせる」

「首を洗って待っていて下さい!」

2人は顔を見合わせると、身を寄せあってワーワーと子供のように大声を上げて泣きじゃくった。

めでたく迎え入れられた新しい姫

高瀬のお披露目の日。

主殿には家老や重臣、井伊の血を引く者や寺の者が勢ぞろいし、廊下には女性陣の姿があった。

しのと泣き明かしたお陰ですっかりと落ち着きを取り戻した直虎が、堂々と高瀬を紹介した。

「直親の忘れ形見、高瀬である。皆んなで支えてやってほしい」

「私のようなものを認めてくださりありがとうございます。これからは、井伊のお家のために尽力いたしますので、皆様ご指導よろしくお願い申し上げます」

高瀬のきちんとした挨拶に直虎は感心した。

「井伊に姫が増えた。こんなめでたい事はない。今日は存分に祝おう!」

宴が始まり、高瀬と虎松が初めて顔を合わせた。

「虎松様、高瀬でございます。よろしくお願いします」

尻込みする虎松に、しのが声をかけたが、うつむいたままである。

そこで、直虎が「これ!虎松!返事くらいきちんとしなさい」と、軽く叱った。

側にいたあやめは、また、しのが怒り出すのではと冷や冷やした。

が、しのは「虎松、殿のおっしゃる通りにしなさい」と、直虎に微笑んでさえいる。

一生交わることのない二人だと思っていた政次は唖然としていた。

同じような気持ちで見ていたなつが、「共通の敵に向かうべく、手を組んだのかも…」などと言うので、ふと三国志の故事が浮かんだ。

「死んだ直親が、生きている二人を結ぶ…」

「凄腕の策略家でございます」

なつは楽しそうに笑った。

読み書きのできない高瀬は、虎松たちとともに龍潭寺で学ぶこととなった。

子供たちは皆、まっすぐな姿勢で昊天の指導を受けている。

その成長ぶりをほほえましく見ている直虎に、南渓が声をかけてきた。

「そういえば、この間、高瀬に井戸の赤ちゃんの話をして、なぜ助かったと思うか聞いてみたのだ。そしたら、ご初代様が河三郎だったからではないか、と」

「わたしの生まれ育った里には、河三郎という妖怪がいて、人に化けてはいたずらをする。河三郎なら、水の中でも呼吸できます」

「本当に高瀬はそんなことを言ったのですか」

直虎は大声で笑った。

井戸の子は竜宮小僧だと答えた自分にそっくりである。

「…これは、偶然ではないかもしれぬ」

南渓の言葉の意味が理解できなかった直虎に、南渓が真顔で続けた。

「ユキという高瀬の母は、どこかおとわに似ていたのかもしれない」

「わたしに?」

「そういうことであろう」

つまり、亀之丞はユキの中にとわの面影を見つけ、それを求めたのだと…

活発で明るく、天真爛漫な高瀬が、どことなく自分に似ている気がした。

そうだとすれば、やはり高瀬はわたしの娘だ。

「…まったく、嫌になる!直親の舌は何枚あるのだろう」

泣きそうになりながらもボヤく直虎を、南渓は優しく見守った。

背後に人影を感じた南渓が振り向くと、そこには常慶が立っていた。

「大変お待たせいたしました」

報告を聞くため、三人で連れ立って歩いていく姿を、遠くから高瀬が見つめていた。

直虎が常慶と会うのは久しぶりで、直親の件で三河にお願いに行った時以来である。

「その節は、お役に立てずに…」

「そんな事はもう良い。それより、武田はどうして今川を切り捨てようと考えたのか?」

「この一連の動きを影で操っているのは、織田でございます」

「織田?」

「今川を切ることで南に敵を抱えることになりますが、織田と同盟を組めば、西に味方を得る形となり、さらに織田の盟友である松平を封じることもできます」

三河や遠江を押さえ、いずれは駿府に入ろうと考えている松平は、南の海に出たいと思っている武田にとっても目の上のこぶである。

その松平を、織田の力を借りて封じ込めようと言うのである。

織田はそこにつけ込み、東の武田と組むことで、東からの脅威を封じたのである。

「上手いことやるもんじゃ」

南渓ですら感心している。

「すぐにお耳に入ると思いますが、信玄公は幽閉されているご長男を後継から外し、四男の勝頼様に織田から姫を迎えるようです」

井伊を取り巻く大国の関係が、大きくバランスを崩そうとしている。

押し寄せる時代の波と絡まる運命の糸

報告を聞き終えると直虎は、すぐに政次を寺に呼び寄せた。

碁盤に向き合いながら、直虎は先程聞いた話を一言一句逃さないよう政次に伝えた。

「では、今川と松平が手を結ぶ事はありえないという事ですね」

「いちど勢いを失った松平は、今では織田に逆らうような事は微塵もできないようだ」

「瀬名様への手紙はことづけました?」

「当主である私からの手紙を、もしどこかで常慶が狙われ、その手紙が今川の手に渡るようなことがあれば、大変なことになるからと言って断られた。当主というのは窮屈だな」

「いつお辞めになられても構いませんが」

「バカを言うな」

「ごめん!」

最後の一手を決めた政次に、本気で悔しがる直虎。

その様子を見ながら政次は穏やかに笑った。

こうして、無事に当主としての一年を終えたのである。

年が明けると、政次は例年通り、氏真のもとへ新年の挨拶に伺った。

「今年も変わらずよろしくお願い申し上げます」

「武田から先代の血を引く娘が来たらしいな」

いつものことであるが、情報が早い。

「いつか良い縁をいただければと思います」

「縁なんてあてにならないぞ。結んだところで裏切られれば終わりだ」

氏真が怒りを込めて言った。

「何かありましたか?」

「わざとらしい。とっくに聞いておるだろう」

「太守様の口から直接聞くまでは信じないようにしておりました」

「但馬、わしは決して武田を海には出さないぞ。絶対に…覚えておけ」

政次は「は」と、ひれ伏した。

このような動きは、どうなっていくのであろうか。

井伊のような小さな国は、大きな波に飲まれないよう、常に周囲に目を配り、小さな兆しを見逃さず、神経を研ぎ澄ましていなければならない。

年明けからまもなく経ったある日、織り上がった布を手にした甚兵衛が、井伊の邸にやってきた。

「うん。良いではないか」

「はい。新年に、直虎様にお見せしたいと女性陣が張り切りまして」

ちょうどその時、庭先に現れた方久に、六左衛門が手招きした。

「布の試作が出来上がったんだ。どうだ!なかなか良い出来であろう?」

いつもなら、食いついてきそうな方久であるが、この日は元気もなく、なんら反応もない。

「これを駿府で売る事はできないか」

「駿府…駿府などくそくらえです!あんな商売をしていては、いずれ必ず失敗します!」

駿府と言う言葉を耳にした瞬間、方久が発狂した。

「何があったのですか?」

六左衛門が目をまん丸にしている。

「結局駿府は、昔なじみの商人を優遇することしか考えてない!あんな閉鎖的なやり方をしていては、新たな者は入れず、いずれ誰も参入しなくなるでしょう」

聞くと、完成を目前とする種子島を、古くからの馴染みの商人に引き継がせると言われたらしい。

つまり、美味しいとこどりされてしまったのだ。

「駿府はダメだと言うことか」

「気賀に行ってみましょう!気賀は金の匂いがします。気賀…気賀…これからは、気賀の時代です!」

方久の勢いに押され、直虎たちはすぐに気賀を訪れていた。

この街は浜名湖の北側の賑やかな街道にあるため、方久の言うとおり、活気にあふれた街であった。

今川領でありながら、武家ではなく商人がおさめている特別な街らしい。

「ずいぶんと栄えているなぁ」

人や物がごった返す通りを話しながら歩いていると、一軒の店から、腰に水筒をぶら下げた男が出てきた。

「頭、助かったよ。ありがとう。またよろしくね」

「おう」

「頭」と呼ばれた男は、直虎を裏切り逃げ出したあの男であった。

お互いに気づくことなく、逆方向に歩いて行った二人。

しかし数奇な運命がまた、この二人にいたずらをしようとしていた。


以上、おんな城主直虎20話のあらすじネタバレでした。

以下は放送を見ての感想です。

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おんな城主直虎20話の感想

直親の娘だと名乗る少女が現れひと騒動の回でした。

直親も寂しくなったら他の女性と子供を作ってしまうのでしょうか。

この事が切っ掛けで直虎としのの仲が良くなるとは、まさに怪我の功名かもしれませんね。

直親の娘と名乗る少女が現れる

直親の娘登場という驚きの展開から始まった今回。

少女は母親が亡くなる前に井伊の亀之丞の名前を聞かされていました。

彼女は本当に直親の娘なのでしょうか。

直虎と夫婦約束をしていた時の子供だったら裏切りです。

和尚たちも直虎に気を遣っています。

しのより先に虎松が知ってしまったのはまずかったですね。

しかし、激怒かと思いきや意外にも高瀬と名乗る少女を直親の娘として冷静に受け入れている感じ。

直虎と茶を飲みながら嫌な同情の仕方をしました。

直虎が裏切られていたなんて、しのにとっては気分のいい話でしょうね。

政次もこの事を知り複雑な心境の様子。

実際に少女を見て武田の間者ではないかと言います。

今川と武田が敵対するということは、井伊にとっても武田が敵なのですから有り得る話です。

祐椿尼へ花を渡すため崖をよじ登るなんて間者しかできない芸当ですよね。

和尚からユキという女性が存在したことを聞かされ、信憑性が高まってきたようにも感じますが。

情報が少なすぎて、まだまだ信じ切るには至りません。

そこへ和尚はとんでもない事を告白しました。

自分は母親の不義の子だなんて言い出すとは。

嘘なのか事実なのか・・・。

今の時代のようにDNA検査を出来ないのでどうにもなりません。

意気投合する直虎としの

政次に彼女をどうすべきか話している最中、懐かしい曲が聞こえてきました。

そこには鼻歌を歌う高瀬の姿が。

亀之丞が笛で吹いていた曲と同じものだなんて、やはり直親の子なのでしょうか。

この事が直虎の中で確信に変わったようです。

少女を直親の娘として受け入れることを決め、正式に井伊の一員に。

この事を知り、井戸にやって来たしのが口にしたのは本心からの直虎への慰めの言葉でした。

二人の絆にアレだけ嫉妬したのに、その絆が余所で子供を作るほど脆かったとは思いたくないのでしょう。

直虎への愛をひたすら口にしながら他の女と子供を作っていたなんて。

激怒する直虎の気持ちに共感し、何だか仲良くなった雰囲気です。

回想シーンだけだと、両方に良い事ばかり言って完全に嫌な男にしか見えません。

しのの言う通り、すけこましの最低男のような気がしてきました。

切っ掛けはともかく、二人が腹を割って語り合えたのはよかったですね。

この先仲良くなってくれるといいのですが。

なつも別の敵が現れて直虎としのの仲が良くなったことを感じたようです。

女性同士の人間関係ではよくあると聞きますか、様々な意味で良い結果をもたらした少女でした。

一連の動きを操っているのが織田だと知る

和尚が高瀬にも井戸の話をすると、ご初代様は川三郎だったのだという答えが返ってきました。

そんな彼女の答えに、ユキという女性が直虎に似ていたのではないかと推測します。

直親は、その女性に直虎の面影を見ていたのではないでしょうか。

直親の隠し子問題が解決した直後、常慶から今川と武田の状況を報告されます。

一連の動きを操っているのは織田だったのですね。

まさかここにきて織田が絡んでくるとは驚きです。

松平は織田の臣下のようになっているのなら、今川と手を結ぶなんてことは端から有り得ません。

武田を敵に回すということは相当な数の敵を増やすという事なのですね。

二人で囲碁を楽しむなんて、直虎と政次も随分仲良くなりました。

氏真は武田と徹底抗戦するする構え。

種子島作りも別の人間に引き継がれることになり、銭の犬もしかめっ面です。

戻ってきた方久は、「駿府などクソくらいにございます」と言ってしまうほど頭にきた様子。

今川があてにならないと分かると、次は気賀という場所で新しい金儲けを考えつきました。

そこには例の旅の男の姿が・・・。

次はどんな風に再会するのか気になりますね。

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